(受傷機転) サッカー、バスケットボールなどのプレー中、「転倒」「方向転換」「着地」などで膝を強く捻る(足先が外に外力が加わった場合)ことにより発生します。 (症状) POP音(プチッ!と言う音)とともに負傷されることが多いですが、受傷直後は痛みのためにその後のプレーどころか、動かす事すら不能になります。 その後、関節内部にある靭帯のために関節内に血種が留まる可能性が大です。 そのために受傷直後のRICE処置は非常に重要となります。 (診察) ACL損傷を疑えば以下の理学的所見で、ある目安を立てる事ができます。 ・ラックマン検査 ・前方引き出し検査 私の場合、ほぼ前方引き出し検査で、ACL損傷の目安をつけます。 この徒手検査で異常があればドクターへの対診、診察が重要となります。 場合によれば手術対象となるためです。 (処置) ACL損傷の場合、普通1ヶ月程度で痛みは治まります。 ところが、「膝くずれ現象」と言って、「膝がガクッ!と外れる感じ」と言う現象が現れます。 この現象を放って置くと、常に半月板に摩擦が加わり、側副靭帯が伸ばされ膝に引っかかり感、伸展不全(ロッキング)を伴う関節炎を引き起こし、ゆくゆくは変形性関節症なる可能性があります。 この引っかかり、伸展不全(ロッキング)が日常生活で常に現れると手術を勧める事があります。 ところが、アスリートの場合は一概に手術だけに当てはめるのは私は良くないと考えています。
(ACL損傷に対する治療家としての考え) ACL損傷を手術されるスポーツ選手は、現在、非常に多いです。 あるプロ野球選手に関してもオープン戦で負傷され、その後渡米、米国で手術、リハビリをされて、現在、ペナントレースに復帰され怪我をしたのか分からない位に回復されている選手がいます。 この場合、一番重要なのはリハビリになってきます。 この選手のように、この位リハビリに徹底して出来る時間と経済的な余裕があれば、私は誰にでも手術を勧めます。 ところが、普通は何億円も年棒のある方と同じ事をする事は、まず不可能です。 私が何を言いたいかと言うと、手術をされると急激にパフォーマンス、アスリートとしてのスポーツレベルが下がる選手が多勢います。 出来るだけ手術を考えずに筋力トレーニングなどのリハビリで保存的に治療した方が良いと私は考えています。 これも治療家として言わせて頂きますが、手術をされると膝関節に独特の硬さ、そして、周りの筋肉に独特の硬さ、とくに大腿二頭筋に柱が入ったような硬さが出現します。 これらを時間、お金をかけて完璧にリハビリが出来る方なら問題ありませんが、普通の方には、はっきり言って難しいと思います。 もちろん、こう言ったリハビリに私達の治療は最適であると確信しています。 ただ、先ほどからも言っていますが、まずは保存的治療を心掛けるべきだと私は考えています。 また、この保存治療にアスリートとしてのパフォーマンスを落とさずに、今まで培われてきた感性を鈍らせない事に対して、私達治療家は非常にお役に立てると、私は確信しています。
(受傷機転) 肩関節に伸展強制(腕を後ろに持っていかれるような強い力)が加わると発症します。 ラグビーでタックルに行った時に上肢が後方に伸ばされた時などです。 (診察) 肩関節脱臼の場合、大半は前方脱臼であり、後方脱臼は稀であると言っても良いと思います。 前方脱臼の場合、上腕骨頭の位置の確認(視診、触診)によりほぼ脱臼は断定できます。 その時、その場合に医療従事者存在しなければ、ただちに病院に救急搬送した方がいいでしょう。 (受傷直後)
(整復法) この場合、まず脱臼した上腕骨頭を元の位置に戻す整復をしなければなりません。 (1)Hippocrates法 (2)kocher法 (3)Zero postion法 (4)牽引法 私の場合、(1)を多用します。 最近では(3)の整復法でも良い結果が出ています。 (2)の整復に関しては上腕骨の螺旋骨折の危険を感じる時が多々ありますので、この整復法に関しては私は使用しません。 (4)は、痛みが少ないのですが、時間がかかります。 それと、現場でベッドなど、その代わりになるものがない時があります。 私の場合、(1)(3)で整復できない時に行う整復法です。 (治療) 新鮮例の場合、最大のポイントは再脱臼を予防し習慣性脱臼への移行を防ぐ事です。 治療はおもに、リハビリテーション(筋力訓練)、ストレッチ、筋肉に柔軟性を持たす手技療法が重要となってきます。 ただこの際に、受傷直後のストレッチは関節包、Slap Lesion、前下方関節上腕靭帯、肩甲下筋などの軟部組織の欠損が著明なために、無理なストレッチはできません。 しかし、この際に肩関節周囲の軟部組織の柔軟性を保たなければ、後に肩関節に著明な可動域制限を残します。 この可動域制限も、のちの再脱臼の要因となってくるためです。 したがって、リハビリ(筋力強化)とともに、私達の手技療法も併用して行っていきます。 最近は初回の脱臼でも手術を勧められるケースもありますが、まずはリハビリ、治療に専念してはどうでしょうか! 良い結果を残すケースも多々あります。 (再脱臼) 現場で脱臼した人の話を聞いていると、ほとんどが再脱臼をされた方々です。 その場合は、私は手術を勧めます。 というのは、再度脱臼をされた方(とくに短期間で受傷された場合)ですが、保存療法(リハビリ、治療)では再脱臼の防止はほぼ不可能です。(これはアスリートを対象としています。) 100%とはいいませんが、私の経験上ほぼ断言しても良いのではないでしょうか。 この場合ですが術後のケアーが問題となってきます。 もちろん、この場合もリハビリ、治療が必須となります。 リハビリについてはドクターの監視下の下、PTの方が専門的に行われます。 治療については、我々治療家の専門分野となります。 そして、このリハビリ、治療の際に治療家として考えさせられるものがあります。
(肩関節脱臼に対する治療家としての考え) 肩関節脱臼術後の選手を診ていると、関節の可動域制限がまだまだ残存しているにも関わらず、練習、試合に復帰する選手をよく見かけます。 可動域が著明に残存するケースは手術のやり方にもよる場合もありますが、このような選手は術後のリハビリ、治療を怠っていると思います。 このような選手は手術をしたにも関わらずに、再脱臼する可能性があると思います。 術後のリハビリ、治療を怠っていると肩関節に外転、外旋制限が著明に残存します。 このような状態だと、せっかく手術をされて補強された箇所に非常に負担がかかります。 よって肩関節脱臼術後のリハビリ、治療が今後の選手生活に繋がってくることを指導し、施術に当たっています。
(肉離れに対する治療家の考え) 肉離れの場合、ほとんどが完全断裂ではなく、部分断裂です。 その時、血腫が溜まり炎症が起こります。 この炎症がおさまると、必ず患部は「しこり」のような状態になり硬くなります。 ということは、肉離れというのは筋肉が収縮して「しこり」ができ、その収縮力に耐えられなかった筋繊維の何本(本数は程度により様々です。)かが断裂すると思われます。 このことから肉離れの治療は、この「しこり」を早く取ってあげること、部分断裂の修復を早くできるように自然治癒力を促す治療をする事と、私は考えています。 炎症の下にある「しこり」を早く取ってあげ、そして、炎症も早く取ってあげるということです。 早く治療するのとしないのでは、予後は必ず変わってきます。 というのは、この「しこり」が治癒を長引かせるということです。 アスリートの早期現場復帰、またパフォーマンスを下げないために、このローリング治療は必ず不可欠になります。 ただ、肉離れの場合、気をつけなければならないことがあります。 上記していますが、坐骨結節の剥離骨折、もしくは、完全な筋断裂、これらについては病院での診察、処置が必要となります。