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症状コラム
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スポーツ障害と治療家
●前十字靭帯(ACL)損傷

(受傷機転)
サッカー、バスケットボールなどのプレー中、「転倒」「方向転換」「着地」などで膝を強く捻る(足先が外に外力が加わった場合)ことにより発生します。

(症状)
POP音(プチッ!と言う音)とともに負傷されることが多いですが、受傷直後は痛みのためにその後のプレーどころか、動かす事すら不能になります。
その後、関節内部にある靭帯のために関節内に血種が留まる可能性が大です。
そのために受傷直後のRICE処置は非常に重要となります。

(診察)
ACL損傷を疑えば以下の理学的所見で、ある目安を立てる事ができます。
 ・ラックマン検査
 ・前方引き出し検査

私の場合、ほぼ前方引き出し検査で、ACL損傷の目安をつけます。
この徒手検査で異常があればドクターへの対診、診察が重要となります。
場合によれば手術対象となるためです。

(処置)
ACL損傷の場合、普通1ヶ月程度で痛みは治まります。
ところが、「膝くずれ現象」と言って、「膝がガクッ!と外れる感じ」と言う現象が現れます。
この現象を放って置くと、常に半月板に摩擦が加わり、側副靭帯が伸ばされ膝に引っかかり感、伸展不全(ロッキング)を伴う関節炎を引き起こし、ゆくゆくは変形性関節症なる可能性があります。
この引っかかり、伸展不全(ロッキング)が日常生活で常に現れると手術を勧める事があります。

ところが、アスリートの場合は一概に手術だけに当てはめるのは私は良くないと考えています。


(ACL損傷に対する治療家としての考え)
ACL損傷を手術されるスポーツ選手は、現在、非常に多いです。
あるプロ野球選手に関してもオープン戦で負傷され、その後渡米、米国で手術、リハビリをされて、現在、ペナントレースに復帰され怪我をしたのか分からない位に回復されている選手がいます。
この場合、一番重要なのはリハビリになってきます。
この選手のように、この位リハビリに徹底して出来る時間と経済的な余裕があれば、私は誰にでも手術を勧めます。

ところが、普通は何億円も年棒のある方と同じ事をする事は、まず不可能です。
私が何を言いたいかと言うと、手術をされると急激にパフォーマンス、アスリートとしてのスポーツレベルが下がる選手が多勢います。
出来るだけ手術を考えずに筋力トレーニングなどのリハビリで保存的に治療した方が良いと私は考えています。
これも治療家として言わせて頂きますが、手術をされると膝関節に独特の硬さ、そして、周りの筋肉に独特の硬さ、とくに大腿二頭筋に柱が入ったような硬さが出現します。
これらを時間、お金をかけて完璧にリハビリが出来る方なら問題ありませんが、普通の方には、はっきり言って難しいと思います。
もちろん、こう言ったリハビリに私達の治療は最適であると確信しています。
ただ、先ほどからも言っていますが、まずは保存的治療を心掛けるべきだと私は考えています。

また、この保存治療にアスリートとしてのパフォーマンスを落とさずに、今まで培われてきた感性を鈍らせない事に対して、私達治療家は非常にお役に立てると、私は確信しています。




●肩関節脱臼

(受傷機転)
肩関節に伸展強制(腕を後ろに持っていかれるような強い力)が加わると発症します。
ラグビーでタックルに行った時に上肢が後方に伸ばされた時などです。

(診察)
肩関節脱臼の場合、大半は前方脱臼であり、後方脱臼は稀であると言っても良いと思います。
前方脱臼の場合、上腕骨頭の位置の確認(視診、触診)によりほぼ脱臼は断定できます。
その時、その場合に医療従事者存在しなければ、ただちに病院に救急搬送した方がいいでしょう。

(受傷直後)


(整復法)
この場合、まず脱臼した上腕骨頭を元の位置に戻す整復をしなければなりません。

 (1)Hippocrates法
 (2)kocher法
 (3)Zero postion法
 (4)牽引法

私の場合、(1)を多用します。
最近では(3)の整復法でも良い結果が出ています。
(2)の整復に関しては上腕骨の螺旋骨折の危険を感じる時が多々ありますので、この整復法に関しては私は使用しません。
(4)は、痛みが少ないのですが、時間がかかります。
それと、現場でベッドなど、その代わりになるものがない時があります。
私の場合、(1)(3)で整復できない時に行う整復法です。

(治療)
新鮮例の場合、最大のポイントは再脱臼を予防し習慣性脱臼への移行を防ぐ事です。
治療はおもに、リハビリテーション(筋力訓練)、ストレッチ、筋肉に柔軟性を持たす手技療法が重要となってきます。
ただこの際に、受傷直後のストレッチは関節包、Slap Lesion、前下方関節上腕靭帯、肩甲下筋などの軟部組織の欠損が著明なために、無理なストレッチはできません。
しかし、この際に肩関節周囲の軟部組織の柔軟性を保たなければ、後に肩関節に著明な可動域制限を残します。
この可動域制限も、のちの再脱臼の要因となってくるためです。
したがって、リハビリ(筋力強化)とともに、私達の手技療法も併用して行っていきます。

最近は初回の脱臼でも手術を勧められるケースもありますが、まずはリハビリ、治療に専念してはどうでしょうか!
良い結果を残すケースも多々あります。

(再脱臼)
現場で脱臼した人の話を聞いていると、ほとんどが再脱臼をされた方々です。
その場合は、私は手術を勧めます。
というのは、再度脱臼をされた方(とくに短期間で受傷された場合)ですが、保存療法(リハビリ、治療)では再脱臼の防止はほぼ不可能です。(これはアスリートを対象としています。)
100%とはいいませんが、私の経験上ほぼ断言しても良いのではないでしょうか。
この場合ですが術後のケアーが問題となってきます。
もちろん、この場合もリハビリ、治療が必須となります。
リハビリについてはドクターの監視下の下、PTの方が専門的に行われます。
治療については、我々治療家の専門分野となります。
そして、このリハビリ、治療の際に治療家として考えさせられるものがあります。


(肩関節脱臼に対する治療家としての考え)
肩関節脱臼術後の選手を診ていると、関節の可動域制限がまだまだ残存しているにも関わらず、練習、試合に復帰する選手をよく見かけます。
可動域が著明に残存するケースは手術のやり方にもよる場合もありますが、このような選手は術後のリハビリ、治療を怠っていると思います。
このような選手は手術をしたにも関わらずに、再脱臼する可能性があると思います。

術後のリハビリ、治療を怠っていると肩関節に外転、外旋制限が著明に残存します。
このような状態だと、せっかく手術をされて補強された箇所に非常に負担がかかります。
よって肩関節脱臼術後のリハビリ、治療が今後の選手生活に繋がってくることを指導し、施術に当たっています。




●アキレス腱断裂
(受傷機転)
下腿三頭筋の急激な収縮、瞬時のつま先移行によりアキレス腱への過度の負荷が加わることで、「バチッ!」という轢音とともに負傷されます。

 テニス(レシーブの時)
 バドミントン(レシーブの時)
 バレーボール(アタック動作よりレシーブが多い)
 剣道(打ち込みの時、主に左側)
 ラグビー(キックを蹴ろうとした時、スクラムを組んでいる時、ラインアウトで着地した時)

これらのスポーツに多発しますが、どのスポーツを取っても充分に発症しうる可能性はあります。

(診断)
三大徴候
1.アキレス腱部の陥凹を触知
(私の経験上、診たところ陥凹というよりも腫れている感じがあり、視診だけで陥凹は分かりません。ただ、触診をすればかなりの痛みを伴うために、私はこの診断法は意識しません。)

2.つま先不可能
(つま先に力を入れる事が不可能になります。ところが、足を引きずりながら踵のみで体重を乗せて歩いて来られる時があります。普通の方が見ると「大丈夫かな!」と思われる事もあるでしょう。)

3.Thompson's squeeze testが陽性
(これが一番の決め手となり、比較的容易な診断法です。)
※三大徴候以外にも患者の訴えも診断の目安になってきます。
この場合必ず、
 「バチッ!」という音がした!
 後ろから叩かれた感じ!
 アキレス腱にボールが当たった!
など、必ず訴えられます。
一つの目安になると思います。

(治療方法)
治療方法には手術療法と保存療法の二つに大別されます。(手術療法の場合、勧血的縫合法と経皮的縫合法に分かれます。)
この場合何が違うかという事ですが、練習を再開できる期間が違ってきます。
手術療法の場合、ギプス固定、リハビリを入れて4ヶ月を目安に復帰されます。
その後本来のプレーに戻るのに1〜2ヶ月かかります。(これは個人差があります。)
保存療法の場合、6ヶ月を目安とし、受傷後10ヶ月ぐらいまでは筋力の回復と俊敏なプレーになれるのが先決になってきます。
本来のプレーに戻るのに、それから1〜2ヶ月を要すると私は考えています。
これらの事からすると、手術をした方が現場復帰も早く、手っ取り早いのではないか!と思われます。
しかし、一筋縄ではいなかいものです。

(アキレス腱断裂に対する治療家としての考え)
手術、とくに勧血的縫合術をされると、アスリートとしてのパフォーマンス、急激に下がります。
私はACL再腱術よりもアキレス腱縫合術の方が著明だと感じています。
やはりアスリートとして、その競技にいつまでも活躍されたいと考えるのなら、時間をかけてしっかりとしたリハビリを行い、保存療法を選ぶべきだと私は考えています。
しかし、保存療法では手間もかかります。
また、再断裂の可能性を恐れます。
そのためか容易に手術をされるようですが、よく考えられた方がいいと思います。
また、その選手の状況にも左右される事であり、間近に選手生命をかけるような試合が控えているのなら、手術を考えられた方が良いと思いますが、どちらにしろ、なんでもかんでも手術は、私は勧めません。

そして、私達治療家はアキレス腱に肥厚を残さず、できるだけ元に近い状態に戻すという事に意識を持ちます。
これがアスリートとしての感性を鈍らせず、いつまでも、常に上を目指してもらえるアスリートに復帰してもらうという事です。
ただ、アキレス腱の肥厚に関してですが、勧血的縫合術をされた方、確かに再断裂の可能性は極めて低いですが、アキレス腱の肥厚は顕著に現れます。
アキレス腱断裂、容易に捉われますが、いろいろと考えさせられます!



●肉離れ
(発症機転)
肉離れは圧倒的に大腿二頭筋に多発します。
したがって、ここでは大腿二頭筋の肉離れについて書きたいと思います。

まず最初に、なぜ大腿二頭筋に肉離れが多発するかという事ですが、大腿二頭筋の拮抗筋は大腿部前面にある大腿四頭筋といって非常に強力な筋肉です。
その大腿四頭筋はジャンプをした時や急に走り出そうとした時などに強力な力が入り収縮します。
その際に拮抗筋である大腿二頭筋も「つりあい」を取ろうとして収縮します。
ところが、この大腿二頭筋は大腿四頭筋が100の力に対し、40ほどの力しかありません。
これはアスリートになればなる程に顕著に現れます。
というのは、大腿二頭筋というのは筋力トレーニングのしにくい場所であります。(レッグカールが大腿二頭筋にとって有名なトレーニングですが、これくらいしか方法は見当たりません。)

そのため、アスリートほどの筋力トレーニングをされるために大腿四頭筋(前面)と大腿二頭筋(後面)の筋力の差が、顕著に現れるという事です。
そのため、大腿四頭筋が急激に収縮した時に、大腿二頭筋がその収縮力についていけずに、肉離れを起こす訳です。

(処置)
受傷直後はRICE処置に限ります。
しっかりとした応急処置をする事で、予後は必ず変わってきます。
ただ、この際に気をつけなければならない事があります。
それは坐骨結節の剥離骨折です。
まずこれを確認して疑いがあれば、速やかに病院への救急搬送の必要があります


(肉離れに対する治療家の考え)
肉離れの場合、ほとんどが完全断裂ではなく、部分断裂です。
その時、血腫が溜まり炎症が起こります。
この炎症がおさまると、必ず患部は「しこり」のような状態になり硬くなります。
ということは、肉離れというのは筋肉が収縮して「しこり」ができ、その収縮力に耐えられなかった筋繊維の何本(本数は程度により様々です。)かが断裂すると思われます。

このことから肉離れの治療は、この「しこり」を早く取ってあげること、部分断裂の修復を早くできるように自然治癒力を促す治療をする事と、私は考えています。
炎症の下にある「しこり」を早く取ってあげ、そして、炎症も早く取ってあげるということです。
早く治療するのとしないのでは、予後は必ず変わってきます。
というのは、この「しこり」が治癒を長引かせるということです。
アスリートの早期現場復帰、またパフォーマンスを下げないために、このローリング治療は必ず不可欠になります。

ただ、肉離れの場合、気をつけなければならないことがあります。
上記していますが、坐骨結節の剥離骨折、もしくは、完全な筋断裂、これらについては病院での診察、処置が必要となります。




●外傷(スポーツ外傷)
外傷に関してはトレーナー、柔道整復師として、私の現場での体験に基づいて記しています。
スポーツ関係者の方、これからトレーナーを目指される方のお役に立てれば!と思いUPしました。
また、ローリング療法は骨折の治療に関して、骨癒合の促進も期待されます。

 ・中手骨々幹部骨折
 ・中手骨頚部骨折
 ・舟状骨々折
 ・槌指(Mallet Finger)
 ・トウ骨遠位端骨折
 ・肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折



●中手骨々患部骨折
中手骨々幹部骨折は螺旋状の骨折が多く、放って置くとオーバーラップフィンガーや、末梢骨片が中枢側にすべって行く指の短縮を招くことがある。

なぜ、ローリングの先生方に中手骨々骨折を訴えるか?ということですが、私が現場(とくにラグビー)に行くと、中手骨に痛みを訴える者が結構多い!
「一週間位前に手を着いて痛いんですが、骨には異常がないですか?」というような質問をよく受けます。

症例
(受傷原因)
ラグビーの試合中、タックルをされた際に転倒、その際に手を着き負傷する。


(症状)
・第2、3中手骨に軋轢音を有す。
・手背部の腫脹が著明である。
・指の掌屈が出来ない。
※以上の結果、中手骨骨折を疑い整形の対診を依頼する。

(診断の結果)
第2、3中手骨々幹部骨折

(みなさんに現場で活かして貰いたいこと)
中手骨々幹部骨折は特有の軋轢音を示す。
この時、この軋轢音を必ず診れる知識と技術を持っていて欲しい、技術といってもさほど難しいものではない!
ただ、簡単である!とまではいい難い!

そして中手骨の骨折では、中手骨々幹部骨折のような完全な骨折でなくても、ただ単なる亀裂骨折でもグローブのようにパンパンに腫れることもある。
私の経験上、一番大事なのは軋轢音を感じることである。
現場で中手骨が痛い!といって来た選手に対しては、腫れがなくてもまずは軋轢音を診て下さい!



●中手骨頚部骨折(ボクサー骨折)
相手を殴った時に起こる骨折のため、通称ボクサー骨折ともいわれる。
私の診た患者で、いらいらして床を殴って負傷したという患者もいる。
スポーツの現場ではあまり診ることはないかも知れないが、臨床をしている患者さんにこういった質問を受けることがある。
「拳の関節がまだ痛いのですが、どうもないでしょうか?」
私の経験上、このような患者は何かを殴っています。
なかには本当の事をいわない患者もいる。
現場もさる事ながら、よくある骨折なので、今回、発表させて頂きます。

(発生機転)
手を握って強打することによって発生するが、一言でいえば、喧嘩をして相手を殴った時に負傷することが極めて多い!

(症状)
中手骨々頚部が落ち込んでいる。
診て頂くとすぐに分かります。

(整復法)
@手関節を軽度背屈位に保持
A中手指関節で直角に屈曲する。
B中手骨を末梢に牽引
C一方の手で直角に屈曲する。
※中手指節関節を屈曲するのは同部の側副靭帯を緊張させ、中手骨々頭部に牽引力を効かすため!

(応急処置)
できれば上記している整復を施してから、手を握らせ固定する。
(テーピングの芯を握らせテーピングで固定する。)
手関節を軽く背屈させて厚紙のようなもので手背部に当てて固定する。
そしてDrへの対診を指示する。

(予後)
ボクサー骨折に関しては、放置していると骨頭部が落ち込んだ変形治癒を招く事がある。
私の診た患者で、手関節良肢位だけまったくおかど違いの固定で来院された患者もいる。

よくある骨折なので、選手、患者に適切なアドバイスが必要になってくる。

(症状)
外力の作用と骨関節および虫様筋の作用により骨折部は背側凸の変形を示す。


(整復法)
@手関節を軽度背屈位で保持固定させる。
A患指を中手指節関節で直角に屈曲する。
B中手骨長軸末梢方向に牽引しつつ背側に突き上げる。
C一方の手で背側凸の骨折部に圧迫を加えて整復する。
D中手指節関節を屈曲するのは同部の側副靭帯を緊張させ、中手骨頭に牽引力を有効に作用させるためである。


(固定法)
@手関節軽度背屈位、MP関節(40〜70゚)屈曲位、1P関節軽度屈曲位。
A前腕遠位1/3部より指尖にいたる副子固定を背側に当て固定。
B固定期間は約3〜5週。

(後療法)
後療法は固定後より行うことであるが、損傷された指に対しては3週間頃より自動運動を開始し、5週目頃から外固定を完全に除去し、隣接指に絆創膏で固定をし、自由に指を使用させながら手技的後療法を行う。

c.中手骨骨幹部骨折
骨幹部骨折は外力の働き方によって横骨折が生じる場合と、斜骨折および螺旋状骨折が生じる場合とがある。
1)横骨折
発生機転:手背を挫滅させるような直達外力によって発生し、開放性になる場合も多い。
転位:一般に末梢骨片は掌側に屈曲し、骨折部は背側凸の変形をきたす。
この変形は骨関節の作用が主であり、また虫様筋もわずかながら働き、さらに浅、深指、両屈筋腱の収縮力によって助長される。


2)斜骨折および螺旋状骨折
発生機転:こぶしを握って固い物をたたいたようなとき、中手骨骨頭からの外力や捻転力によって発生する。第2〜第5中手骨では強く出現する。
転位:横骨折のように屈曲転位を生じることはなく回旋転位と長軸縮小の転位を生じる。
これは深横中手靭帯が一側からしか支持されていないためである。
短縮転位(2〜3mm)は機能面ではさほど問題とはならないが、中手骨における回旋転位は、ごく軽度であってもoverlapping fingerをつくり、障害が大きいので見落としてはならない。




●舟状骨々折
手根骨々折の中では頻度の高い骨折で、サッカー、ラグビー、バレーボール、野球、柔道、テニス、オートバイ、スケートなどの際に受傷することが多い。

(受傷原因)
プレー中の転倒によるものが多く、舟状骨中央部での骨折が多い。
なかには、いつ受傷したのかわからない、またどのように受傷したのか分からない?といった不明なものもある。

(症状)
Snuff Box (長母指伸筋と長母指外転筋腱の間)に圧痛が著明である。
腫脹はあまりない。
運動制限に関してはトウ屈、背屈が特に著明と思われる。
なかにはまったく動かせないものや、結構、運動痛がなくて安心させられるものもある。

(診断)
X−Pによる。
舟状骨々折を疑ったのなら、必ずDrへの対診を指導すること!

(治療)
保存療法(ギプス固定のみの場合)
8週間
(なかには4ヶ月かかるものもある)

手術
手術後のギプス固定は2週間
(私が診た人のなかには1週間の人もいる)

なぜこれだけの固定期間、または手術が必要か?

栄養血管が末梢側から入るのみで、中枢側からの栄養血管を欠如している。
そのまま放置しておくと中枢骨片の壊死を招く!
用はSnuff Boxに圧痛があり、舟状骨々折を疑えば必ず選手に上記していることを説明し、必ずDrへの対診を指示すること。

しかしX−Pを撮ったからといって油断はできない。
というのは、Drでも見落としが多い骨折である!

舟上骨、月上骨により形成され、これらの骨は橈骨とも関節し、ちょうど関節板様の役割を担うので、損傷性も高い。
したがって手根骨骨折は、臨床上の重要度、発生頻度の高さから、代表的なものに舟状骨骨折次いで月上骨骨折であり、その他三角骨骨折、有鈎骨骨折などがまれにみられる。

a.舟状骨骨折
舟状骨は機能的にみて、遠位および近位列手根骨のいずれにも属しており、相対的に手根骨としての形態も大きく可動性も大である。そのために圧迫力、橈屈力、剪断力など外力の影響を受けやすく、この骨折は手根骨骨折中もっとも発生頻度が高い。また舟状骨の栄養血管は背面末梢側からはいるのみで中枢側からの栄養血管を欠如していることにより、偽関節や中枢骨片に阻血性壊死がおこる可能性がある。

(発生機転)
ほとんどすべてが介達外力によるもので、手関節の背屈および橈屈位で掌側面から衝撃を受けることによって発生する。




●槌指(Mallet Finger)
DIP関節(遠位指節間関節)が完全に伸展できず、屈曲位となった状態を槌指(Mallet Finger)という。

(受傷原因)
球技による受傷が多い。
野球、ソフトボール、バスケットボールなどでの受傷が多い。
私がよく行くラグビーでの受傷も非常に多い。
ローリングの先生方がよく行かれるサッカーでも十分に考えられる。

(診断)
視診で十分にDIP関節の屈曲位変形は確認できるが、剥離骨折、腱断裂の確認はX−P Checkが必要である。

(治療)
基本は保存治療になるが、私の経験上、保存治療ではある程度の変形を残す。
完璧な治療を求めるのであれば、手術を進めたほうが良い!

(文献による手術適応)
 (1)開放性損傷
 (2)骨片が大きく関節面の3分の1を占める場合
 (3)DIP関節が掌側に亜脱臼しているとき

※私の経験上、上記にあてはまらなくても、完全な治癒を希望されている場合は手術を進めた方が良い!


□槌指(ハンマー指変形)
ハンマー指は、野球、バレーボールなどの球技中、突指という形で発生するものが多く、日常しばしばみられる外傷の一つである。
大部分は受診後、早期に適切な処置がなされれば保存的に治癒するものであるが、放置しておくと永久に機能障害(DIP関節伸展障害)を残すため注意を要する外傷である。
末節骨基部背側に終止腱が付着しているためDIP関節の屈曲強制により指伸筋腱がその末端付近で断裂をおこしたり、腱性部で断裂せずに付着部の剥離骨折をおこし、ハンマー指変形を呈する。

(分類)
これらのハンマー指変形をその原因により分類すると、
(T型)終止腱の断裂
(U型)終止腱の停止部での剥離骨折
(V型)末節骨の背側関節面を含む骨折の3型に分類される(下図)


(症状)
DIP関節の腫脹と疼痛、それにDIP関節伸展障害である。
これらのハンマー指変形のうちT型、U型はDIP関節を過伸展位に固定する保存療法で十分に治癒する。
V型は骨片が1/3以上占めると脱臼骨折の型となり、DIP関節を過伸展すると脱臼骨折の型となる。DIP関節を過伸展位にすると、逆に骨片が関節面から背側に押し出され、かえって転位が増悪する。したがって疼痛と運動制限が大きくなり関節固定術が必要となる場合もある。

(治療)
T型、U型の終止腱を弛緩させた肢位でPIP関節を屈曲位、DIP関節を過伸展位に固定する保存療法が一般に行われている。
固定法としては、ギプスによる固定、いろいろな形のsplintが用いられているが、肢位に適合した両凹のsplintを作り、苦痛のない方法で固定する。

(骨片転位のあるものの整復)
患指背側の中節部に母指を当て、掌側の示指とともに末梢に滑らせながら、示指で末節部を過伸展して整復する。



●トウ骨遠位端骨折(Colles骨折)
背屈強制により背側転位をきたす骨折。
高齢者が転倒した時によく骨折する。
(大腿部頚部骨折、脊椎圧迫骨折、コーレス骨折)
若年者でも強力な外力により起こる。
(ヤンキースの松井が受傷した骨折)

(症状)
手関節が脱臼しているように診えるが、手関節が脱臼することはほとんど皆無である。
手関節のトウ側、背側凸の変形を診れば、コーレス骨折を疑う。
私の経験上、まったく転位のないコーレス骨折もある。
この時、完全に骨折している場合、または亀裂骨折の場合がある。
その辺の鑑別をしっかりと選手に伝えることが重要である!
ギプス固定は4〜5週間である。
とにかくよく起こる骨折である。




●肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折
肘関節骨折

(受傷原因)
手を着いて過伸展を強制されたときに多発する。
※シドニー五輪で柔道の吉田稔彦が手を着いて負傷したのがこれに当たる。

(分類)
肘関節脱臼については後方脱臼があると思ってもらってよい!
あと側方脱臼、前方脱臼があるが極めて稀である。

(処置)
極めて激しい疼痛があるが、肘関節脱臼の整復は比較的に容易であるが上腕骨顆上骨折との鑑別が難しい!


上腕骨顆上骨折

(発生機転)
手を着いて過伸展強制されたときに負傷する。
稀に屈曲骨折があるが、極めて稀である。

※肘関節脱臼のところでも記しているが、肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折との鑑別が難しい。
そのためにヒューター線、ヒューター三角を診る。

(注意点)
肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折との鑑別に自信がなければ、すぐに病院に搬送すること!
というのは、上腕骨顆上骨折であれば合併症が怖い!

(合併症)
阻血性拘宿「Volkmam拘宿」
上腕骨顆上骨折による。
整復不良、固定包帯の過度緊縛、血腫による内圧亢進により、上腕動脈が周囲から圧迫されて血行阻害をきたす。


(肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折)
私の経験上、手を出さないほうがいい。
上腕骨顆上骨折を肘関節脱臼と思い整復をしたり、また、適切な指示をせずに放置したままだと、
阻血性壊死「Volkmam拘宿」を招く可能性がある!
必ず肘関節脱臼と上腕骨顆上骨折の知識は持っていて欲しい。
どんなスポーツにも発生する可能性はある。

※上記していることを選手、首脳陣に伝え、納得してもらって病院に行ってもらうこと!

(小児の肘関節脱臼の危険性)
スポーツとは関係ないかもしれないが、肘関節の題材であるために参考に記す。
小児の肘関節脱臼はどこであるか分からないために、知識として知っておいて欲しい!

(発生機転)
小児の手を引っ張ったときや、小児が手を伸ばした時に発生する。

(成人の肘関節脱臼と小児の肘関節脱臼の違い)
成人の場合は尺骨肘頭が後方に脱臼する。
小児の場合はトウ骨頭が輪状靭帯から亜脱臼する。

(小児の肘関節脱臼の整復法)
肘関節屈曲位で前腕を回内させて屈曲する。
そのときにコチッ!という音とともに整復される。

(小児の肘関節脱臼の注意点)
一見、肘関節脱臼と思っても必ず原因は聞いておくこと。
たまに腕を伸ばして負傷したものではなく、手を着いて負傷したものがある。
その時は上腕骨顆上骨折を疑う。
そのとき、まったく転位のないものがあるために注意が必要である。
また小児の肘関節脱臼の場合は前腕を回内位に保持しているが、たまに、前腕を回外位に保持していたり少し動くものもある。
おかしい?と思えば、必ず実情を付き添いの親に説明して、病院に行ってもらうこと。

小児のX−P Checkの仕方は腱側も撮影する。
そして比較しながら診断する。

小児の診断は難しい!